医療費控除制度の概要 ドラッグストアの領収書で所得税の還付が受けることができるかも

 日本では実は様々な公的な医療保険制度が存在します、しかし確定申告などひと手間かかかることもありますし、自分で調査したり、詳しい方に聞いたりしないとなかなか知る機会はありません。ただしなんとなく「こんな制度あったような気がする」程度でも知っておくと、医療保険検討の意思決定や、いざという時の安心につながりますので、メジャーな制度から順に紹介していきたいと思います。

 ちなみに国のほうでも周知に力を入れており、金融庁の公的保険ポータルサイトが非常によくできているので、で公的医療保険制度の全体像を調べることができます。保険を検討していたり、ご家族などで健康上の問題が発生したなど、詳しく調べる必要がある場合はぜひ参照して下さい。

目次

医療費控除とセルフメディケーション税制

 医療費控除という言葉は割とメジャーで知られていますが、医療費控除のうちセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は知っている方は少ないのではないでしょうか?
本記事では従前の医療費控除とセルフメディケーション税制の概要と注意点を順に記載していきます。


その前に、前提として押さえておく必要があるのは、セルフメディケーション税制を含む医療費控除は、所得控除です。
 これは、支払った医療費のうち一部の金額を所得税の課税対象となる所得から差し引きますよということです。

つまり所得税率が10%で、支払った医療費のうち20,000円が所得控除される場合は、2,000円の還付等を受けることができます。


 急な体調不良や出産など、1年間何があるかわかりませんので、とりあえず1年分の医療費や市販薬を含む薬を購入した場合の領収書は保管しておくようにしましょう。申告自体は明細を記載する形式ですが、領収書やレシートについては5年間の保管義務があります。


 医療費を計算した結果、控除ができることが分かった場合は、普段から確定申告している方の場合は申告、普段確定申告をされていないサラリーマンの方などは、還付される金額と手間との見合いで実際に確定申告をするのか判断すればよいかと思います。

従来(これまで)の医療費控除

みなさんがなんとなく知っている医療費控除です。ざっくりですが、病院で(保険証を提示したうえで)1年間に支払った医療費が10万円を超えると、所得控除を受けることができます。

医療費の要件


実際に医療費を支払った期間がその年の1月1日 から12月31日
  ※ 2020年 12月に治療を受けて、2021年1月に支払った場合は、2021年分として扱います

支払った医療費が自分自身(納税者)及び扶養している家族のために支払った医療費

控除対象となる金額


医療費控除額の計算方法は以下の通りです。
医療費控除額 = 支払った医療費の総額 - 医療保険などで支給された金額 -10万円

控除できる最大額は200万円となります


医療費から差し引く医療保険などで支給された金額は以下のようなものとなります
✅ 加入している民間の保険から支給された入院給付など
✅ 健康保険から支給された”療養費”、”高額療養費”、”出産一時金”など
✅ 事故の加害者などから支払われた医療費(損害賠償金)

最後に差し引く10万円は、総所得200万円以上の場合です、200万円以下の場合は総所得(所得控除後の金額)の5%を差し引くことになります。

以上が概要となります、民間の保険が支給された場合は差し引く必要があるというのがポイントですね。

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)

 医療費控除の特例、通称セルフメディケーション税制はあまり知られていないのではないでしょうか?ドラッグストアで薬を買った後の領収書をよく見てみると、商品名にマークがついており、そのマークの付いた商品が”セルフメディケーション”の対象商品という旨が記載されています。これまでの医療費控除では10万円の支払いが目安でしたが、こちらは支払った金額が12,000円以上であれば所得控除を受けることが可能です。


 花粉症や風邪を引いた際の感冒薬など、割と幅広く適用されていますので、レシートはちゃんともらってチェックしてみてください。

概要


軽い症状の体調不良は(医療保険が必要な)病院での受診はせずに、薬局などで市販の薬を購入するなどして自分自身で管理しましょう、その代わり税制面で考慮しますよ!(みたいな趣旨だと私は理解しています。)


対象期間はこれまでの医療費控除と同様で、自分自身および扶養家族のための薬代を支払った期間がその年の1月1日-12月31日となります。(つまり1年間のお薬代)

対象となるお薬と金額


対象となるお薬は、特定一般用医薬品(スイッチOTC医薬品)と呼ばれるもので、前段で記載の通りレシートなどに明記されています、また市販薬の場合にパッケージに明記されていることが多いです。


控除額の計算方法は医療費控除額 = 特定一般用医薬品の費用合計 - 医療保険などからの給付金額 - 12,000円
そして、控除できる最大額は88,000円 となります。

つまり、所得税率が20%の人なら、最大で88,000円×20%=17,600円分の所得税が還付されます

要件


納税者本人が自身の健康に関して一定の取り組みをする必要があります。
具体的には以下に関する書類のいずれか1つ、提出が必要ですが、特別なものではありませんのでご安心を!

✅インフルエンザ予防接種や定期予防接種の領収書
✅住まいの自治体等のがん検診などの領収書または結果通知書
✅職場や自信で受けた人間ドッグやがん検診などの結果通知書または領収書

医療費控除まとめ

✔ 医療費控除は以下の2種類でどちらか一方有利な方を自分で選択して適用します
  ① 従来の医療費控除 = 支払した医療費 – 保険等支給額 – 10万円
  ② 医療費控除の特例 = 特定一般用医薬品額合計 – 保険等支給額 – 1.2万円
✔ 医療費控除は所得控除(計算した額を所得から差し引きます)
✔ 医療費控除の特例は健康に関しての一定の取り組みが必要

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